私の仕事はコーヒー豆を焼いて、美味しいコーヒーをお客さんに届けること。
コーヒーって本当に身近にある飲み物なのに、実はその奥深さを知らない人も多い。私もノルウェーに来るまでは、コーヒーの味にこだわったこともなかったし、こだわれることも知らなかったです。
コーヒー飲めるようになる経緯を大まかに説明すると、コーヒーチェリーを育てる農家から始まり、その農家たちから生豆を仕入れる卸業者、そこから現地のロースタリーへ渡り、そこで焼かれた豆をバリスタたちによって淹れてもらうことで1杯のコーヒーになります。
これだけ見るとシンプルに思うかも知れませんが、この一つ一つのステップに時間とお金はもちろん、知識と経験を備えた人たちがいて初めて美味しいコーヒーが飲めるように。どこか一つが欠けてしまったり、お金や時間を節約してしまうと、もちろんその質が落ちるのは当然です。

スーパーでは1袋(250g)が30クローネ(約300円)ぐらいで買えますが、じゃこの30クローネのうち、いくらがコーヒー豆自体の値段だと思いますか?そのうちどれだけのお金が農家へ支払われてると思いますか?大手の会社は透明性がないので、確かな数字は分かりませんが、売り上げのほとんどはマーケティングや現地の従業員の支払いに使われ、豆自体にはほとんどお金をかけていないと思います。
私たちがカフェで扱う豆を購入する場合は、信頼している生豆を卸している会社が、すでにクオリティーの高い美味しい豆だけを選別してあるリストから、さらに自分たちのカフェにあう味の豆を探し出します。

気になる豆を10種類ぐらいサンプルで送ってもらい、少量の豆が焼けるサンプルロースターで焼いていきます。コーヒー豆は焼きたてだと味が落ち着いていないので、焼いてから1週間後を目安に味見。そこで気に入った豆があれば購入を決めます。購入した豆が届いたら、サンプルロースターで方向性を決めてから、大きなロースターでテストローストをし、また1週間寝かしてから味見、ここで納得できる味であればお店で売り出すというのが、だいたいの流れです。
コーヒーの生豆は時間や保存状態によって味が変わる場合もあるので、同じ豆を焼いたとしても、毎週すべての豆の味見をし、問題がないかをチェックしています。(カッピングという作業)

もちろん、カフェによってこだわりが違うと思うので、その流れもまちまちだと思いますが、自家焙煎しているお店からコーヒーを買う利点としては、その透明性と信頼にあると思っています。どこから豆を仕入れて、どのような流れで焙煎が行われているかということを直接聞けるので、自分の払ったお金がどこに流れるのかが理解しやすい。そして何より知識のあるお店でコーヒーを買うことが、美味しいコーヒー豆に出会える近道だと思います。
コーヒー豆の質にこだわっているカフェで飲むブラックコーヒーが35クローネであるのには意味があり、セブンイレブンで10クローネでコーヒーが飲めるにはその意味があります。

好みやこだわりはそれぞれなので、私の思いを押し付けるつもりはありません。美味しいコーヒーが飲めるようになるまでの過程を少しでも知ってもらいたいと思って、簡単にではありますがシェアしてみました。どんなビジネスでも最終的には利益を生む必要があります。どこで利益を得ているかを見極めることで、納得のいく買い物をしたいです。
明日も美味しいコーヒーが飲めますように。

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